新規事業と回収の判断

ここ最近のネット関連ベンチャー企業の上場だと、

の2銘柄が有名だし、話題になった。

GREEは設立4年目の上場、paperboy&co.については、有限会社から株式会社へ移行したのが2003年頃でそこから本格的な企業活動を行ったと考えると、設立から5年での上場となる。

恐らくネットベンチャーとしては、上場までの期間としては長い方ではないだろうか?




2000年前後のネットバブルの時期には、立ち上げから10億円未満の会社がその期待感だけでどんどん上場していき、そして、殆どが市場から姿を消した。期待感だけのバブルそのもので、それらの会社の株式を買い支えていたのも、ネットビジネスについて殆ど知識が無い投資家達。彼らのネットリテラシーが成長するに連れ、そのビジネスの実態をきちんと見るようになり、スピード上場していった企業の本質的な価値が判断できるようになるころには、どんどん市場撤退を余儀なくされ、潰れていった。


その当時のベンチャーの状況を思い返してみると、全てが市場の波を掴み損ねまいとしたスピード重視というかスピードオンリーの経営だったと思う。


一言目にはスピード!
二言目にもスピード!スピード!
考えるな!行動しろ!スピードを持って!!
とりあえず売ってこい!!


スピードを失速させる要因、例えば経営戦略であり、マーケティングであり、企業の方向性や基盤根幹を強めるもの、そのようなものは全て阻害要因として殆ど無視された。
だから営業オンリーの会社が多かった。いわゆる営業会社というやつ。


未熟なサービスでも不完全な商品でも何でもスピードの名の下でどんどん売った。
売られる側もリテラシー低く、営業に唆されるととりあえずは買ってみた。




時が経ち・・・、




現在のネット企業は、Googleに代表されるようなテクノロジーやサービスのクオリティが抜群に高い企業や、Mixiのようにサービスモデルが抜群に良い企業、GREEやPaperboyのように中間は振るわなくともニーズやマーケットの分析を行い、自分たちの仮説を信じて地道に活動した結果として市場からも爆発的な評価を受ける企業、と、全てがサービスの品質や方針・戦略をきちんと考えている企業しか市場からも認められない。


逆に、未だ過去の成功体験からスピード重視の亡霊に囚われ、市場や顧客のニーズや市場の展望に構うことなく、投資とリターンのスピードだけにご執心な企業から生まれたものは全てその名を馳せることなく、雲散霧消となる。


過去の成功体験にのみ生きている人は、それを引き摺ることで、目まぐるしく変化する外的環境を察知できず、理解できずにそのまま埋もれていく可能性は高い。


勿論、事業やサービスを創るということは、利益を生み出さなければならない。
昔と今との違いは、その利益をどの時点で生み出すかということだ。
例えば今は全く流行っていないサービスでも、市場環境や顧客のニーズがサービスの伸びていくする方向性と同調しているのであれば、そのままそのサービスを継続すべきだ。過去の体験と感覚値、そして机上の空論だけの恣意的な理由で今後の方針を決定していくのは、読み誤っているとしか判断できない。


自分自身、全くの新しい市場で全くの新しいサービスを立ち上げている最中だ。
そのサービスを継続的に成長させていくには、市場ニーズや同行、外部環境などをきちんと理解した上で、舵をとらなければならない。海図が読めなかったり、風や波の状況を把握できなかったりする船長はいないのだ。経営は勘とも言われるが、それは無知から生み出される勘なのか、知識や戦略が立てられた上での勘なのかで大きく異なる。



方向性を見誤ることのないよう正しく前を見つめていきたいと思う。